落第しないでくださいね!

トラちゃん

ワタシが担当しているフニャ高(←ワタシの勤め先の高校の仮の校名)の日本語クラスは、正規の科目ではなく、成績がつかない科目です。科目としては課外授業というか、放課後のクラブ活動のような位置付け。学年度の初め、日本語クラスに履修登録をしたら最後、学年末まで通い続けるのだけは決まりですが、いざ日本語クラスに通うことにしたものの、あっという間に学習意欲を失って、学年末にひらがなの「あ」さえ読めるようにならなかった…としても、その生徒は落第させられることはありません。フニャ高の日本語クラスがゆ~るゆるな所以は、その辺のところにあるのかも。

でも、正規の科目の場合はそんな具合にはいきません。

ハンガリーの学校の成績表は、日本の五段階評価と同じで、「5」が一番良くて、「1」がダメ。そして、「1」をとった生徒は落第です。
例えば、10年生のA君が6月の学年末の段階でいずれかの正規科目で「1」を貰ってしまったとします。その生徒A君は9月に新学期が始まる前の8月末に追試を受けなくてはなりません。そして、その追試で最低でも「2」をとることが出来なかったら、
「A君、キミは落第。もう一回10年生~!!」
…となるわけ。
たとえ他の科目がすべて「5」だったとしても!です。(ま、ほぼ全科目「5」をとれる生徒が、何か1つだけ不得意で「1」ってことは、実際にはあまりないと思う。普通で「5」をとれる生徒は不得意科目でも「3」くらいはとれるモンですよねぇ?)

さて、A君が追試の日に来なかったり(その場合は自動的に「1」で落第)、追試を受けてもまた「1」だった場合、フニャ高の中で落第して一学年下のクラスに編入する場合と、他の学校へ転校する場合とがあります。(転校しても10年生からやり直しなのは同じなんだけど、転校先はだいたいフニャ高よりもレベルが低い学校なので、授業についていくのは楽になるハズ…という考え方。)

日本の学校の場合の及第・落第ラインが、実際にどのくらい厳しいものなのか知りませんケド、ワタシの経験上では日本の学校は入試を通過してしまえば、あとは出席さえしていれば落第はしない…というふうに思っていたので、フニャ高で2回落第して10年生を3回やっている生徒がいるのには驚きました。

ハンガリーの学校では、このように落第することはそれほど珍しいことではないようで、小学校でも落第があるらしいです。
だから…というか何というか、新学期が始まってみると、11年生になっているはずの子が10年生のクラスに混ざっていたり、「そういえばあの子、見かけないな~」と思って聞いてみると、落第して転校していた…ということがあるので、9月はちょっとドラマチック…かもしれません。

ワタシの日本語クラス自体は及第・落第に関係ないんですが、日本語クラスの生徒が正規科目で落第して、他の学校へ転校していた…という事は過去にありまして、今年の追試の日(27日だった)に追試を受ける生徒の中に日本語クラスの生徒の顔を見つけた時には焦ったヮ。その生徒の場合、カリキュラムの関係上、フニャ高内で落第することは出来ないために、落第したら自動的に転校しなくちゃならなくなり、そうするとワタシはあてにしていた生徒を失うわけで、成績つかないユル科目の教師でも、全く無関係じゃないんですよ、落第は!! そんなわけで、ワタシにとってもちょっとハラハラだった追試でしたが、ワタシの生徒は無事に追試をクリアしたようです。良かった良かった♡

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